アニメが観にくくなった

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 たまには人間臭いブログでも書こうと思う。十年と少しVOCALOID界隈で曲を書いている(三年ほど力尽きて音楽が嫌いな時期もあった)。長く音楽をやってきた弊害がある。趣味だったアニメを見るのが辛くなった。エンディングやオープニングで知り合いや、SNSで関わったクリエイター、それらが結構な確率で制作に参加しているのだ。自分は「わぁ、今、俺の時間なんだから出てこないで」と両目をきつく閉じて胸の内に湧き上がってきたウラヤマシイ!という気持ちを押し殺す。

 

 良い曲ですと褒めてくれて相互フォローにになったと思ったら、一瞬でスターダムを駆け上がった人。「仲良くしてください、すごい良い曲書きますね!」と相手側歩み寄ってきたのに、一瞬でリムーブしてきた割合薄情な人。同じサークルで出たこともある人。飲み会を囲んでいたとても良い人。今でもとても仲の良い友達の人。などなど。

 その人たちが僕の自分の休んでいる時間に、頑張ってるぜ!と呼んでいないけれど曲を歌詞を見せられる。相対して只のサラリーマンとして収まった自分になんだか惨めさが光に対象して影が濃くなるように見えてしまうわけである。君たちの曲は好きだけれど、趣味の時間に現れるとつらいよ!と。ごちゃごちゃした感情を持ってしまっていたわけである。

 

 それもまあでも、と。

 ようやくひとつの視点の獲得かと気持ちに着地点をつけられるように最近なった。魅せられるだけの観客だけではない視点。裏側を少しだけ見つめられる観点。発信を続けたから見られる新しい人生観ではあるのだと思った。大人になってから見る「星の王子さま」みたいに。若者以外が歌う「若者のすべて」みたいに。これはもう自分を誇れる一つの視点にだろうと。戦った結果だ。なんていじましいかもしれないけれど、歯を食いしばった一人の大人として思えるようになった。

 

 二年ほど前に忘年会で大学時代オリジナルバンドを組んでいたメンバーと隣の席になって、彼は俺に何気なく聞いた。

 

『まだ曲書いてんの?』

『うん、めっちゃ書いてる』答えた。

『すげーな』

 

 すげーな。
 なんかそれが賛美なのか、驚愕なのか、呆れなのか。はたまた只の相槌なのかわからんけれど、時々頭で繰り返している。