空想の街

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 十月がもう終わろうとしている。十一月になってしまえば年の終わりを意識し始める。少しだけ肌寒くなってきていて、毎日の仕事に追われ、曲は出来ないまま、毎日ラジオ体操と節酒、ストレッチ、早起き、長湯に努めている。いよいよおじいちゃんでしかない。一歩違う何かを自分で起こさなければあまりにも大きな流れみたいなもんにずるずると流されていって、このまま死ぬんでしまうんじゃないかと危惧する。一体自分は何歳まで生きるんだろう、そして誰に何を怖がって毎日誰でも出来るような仕事をして埋没していくのだろうと思う。唯一の抗いであるところの作曲がうまくいっていないと不安になる。不安なうちはまだいい、なんならなんとなく毎月入る給与に安心して、なんとなく職場の人に笑いかけて、なんとなく日々を過ごしてそのままであろうとする。まったくもって普通の毎日。俺が傍観者です。

 


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 ブログのネタを考える事が難しいので、何度かブログでは書いた事があるとは思うのだけれど、一曲ずつ思い出してそれをまた文章化してみようと思う。活動を思い出していくのは大事。何度でも書いて、知ってもらえる事がきっと大事。

 

「空想の街」って曲について。

 最初のアルバムの一曲目。ボカロで初めて作った曲の話。

 

 大学を卒業してから俺はブラックな印刷会社に就職した。土日にたまにあう大学のころの友人にボーカロイドを教えてもらって、二人で曲を書き始めたのがこの活動のスタートだった。俺はボーカロイドもDAWも持っていなかったので、確か友人の家でメロだしをして作り始めたと思う。サビのメロディを「らららら らーららら らーら ららら」と一番好きな4-5-6の進行で歌うと思った以上にハマリが良くて二人で一日でかなり作りこんだと思う。俺がギター。友人がドラムとベースを打ち込んでくれた。ギターとベースは生。ドラムは当初ドラム音源なるものがなかったのでビートマニアのゲームの音をなんとかかんとかいじくって友人が作ってくれた。俺はそのころドラムがまったくわからず、これが、ハイタムって奴ですか?というような状態だった。ドラムを叩ける奴は手と足をばらばらに動かす事が出来る超人だと思っていた。

 空想の街ってタイトルにして、うちの姉に絵を書いてもらって。ボカロPは友達がいなくて親族に絵を書いてもらいがちである。初音ミクに歌ってもらうから「ワタシ」っていう一人称で初めて歌を作って、なんだかこそばゆい気持ちになった。

 もともと大学の頃に組んでいたオリジナルバンドでやっていた曲に「crow」ってタイトルのものがあった。鴉が友達がいないから、自分の影にえんえんと話しかけているみたいな歌。それをテイストとして盛り込んだ。なんか今久しぶりに歌詞を見てみると「自転の音」とか「わたしがね集めて来たもの、影のないガラクタばっかり」とかなかなか悪くない言葉を並べている。あとは今も思うけれど自殺はしたくないけれど、スーっと消えちまうなら誰も傷つかないし、それって悪くないなみたいな事を想っていた。ブラックな会社で日々を朽ちさせてばかりいたから、疲れていたんだと思う。

 

 あそこから随分とたくさんの曲を書いた。でもやっぱり初期衝動ってすごくってあの時の音源として形にしていく感動は二度とはないものなんだと思う。バンドはやっていたけれど、ちゃんと繰り返し聴くというようなものはちゃんと形にしたことはなかった。いいじゃんいいじゃんと友人と笑い合いながら作った。やったこともないのにリードギターを一生懸命考えた。動画ってのを初めて作った。コンプもEQもわからずつっかえつっかえ初音ミクを調律した。「私は」って言わせたいときは「ワタシワ」って入れるんだ。そっか。ビブラートって入れ方によってこんな感じに聞こえるのか。すごーい。みたいな。戻りたいわけではないけれど、ちゃんとそういうのを忘れないようにしていきたいと思う。明日はFANBOXを書きます、また明日。