マジカルミライ2020に売り子で行きました。

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 昨日はマジカルミライ2010を見に、やみくろさんの売り子のために幕張メッセに足を運んだ。朝十時半に目覚めた時点で遅刻が確定していた。なんなら土曜日の深夜に友人たちと麻雀ゲームをやりながらハイボールを飲んでいたあたりから決まっていたのかもしれない。ごめんよ、やみー。


 やみくろさんに遅れるぜ!ごめんだぜ!との旨を連絡して、シャワーを浴びて少しの身支度で出かけた。自宅は都内アクセスのいい埼玉なので、幕張メッセは京浜幕張駅。一時間半。電車の中で足をぶらぶらさせながら千葉へ向かう。中原昌也「死んでも何も残さない」を読み終えた。シニカルで、視点が新しかった。

 作成中の新曲を何度か聞いて、アレンジ箇所をメモした。外を眺めると海が太陽の光を白みながら反射していて綺麗だった。足元に当たる暖房が温かかった。

 

 久しぶりにやみくろさんと再会すると、また大きくなっていた。風船かな?と思った。けらけらと笑いつつ関西弁なのでいつも話していて楽しい気分にさせてくれる良いやつである。ひさしぶり、ひさしぶりと声を掛け合いながら幕張メッセの出展者入口から入っていく。コロナ対策でCDの出展ブースの前には透明なカーテンがかけられたり、鉄作で距離が取れるようになっていた。厳重さに驚きつつブース内で雑談をしつつ過ごした。

 

 やみくろさんのお客さんが良い感じのテンポで足を運んでくれていた。今回はマジカルミライ2020というライブイベントでやみくろさんの代表曲であるところの「完全性コンプレックス」を演奏してくれているとの事らしい。

 そこで初めて曲を耳にしたお客さんが定期的に訪れているようだった(もちろんファンの方もいたが、やはりライブイベントは大きな導入となっているようだった)

 

 俺はマジカルミライってライブなのかな?CD即売会なのかな?イベントなのかな?とよくわかっていなかったのだがそのすべてがセットでマジカルミライだったようだ。すごい!なんでもありだ!ボーカロイドが主役のイベントってのが一番正しい。
 3D映像の初音ミクたちのライブ。そのボーカロイド関連商品や、サービスの展示、レクリエーション。ボーカロイドに曲を書いているクリエイターのCD即売会。そんな感じだった。

 

 二年ほど音楽すらあまり聴いていなかったので、浦島太郎状態だった。しかし俺のような海中に沈んだ人間がも多くいるのだろう。あの頃の知り合い達はあまり居なくなっていた。主な出展者は、過去からとても有名になった人と、最近出てきた人たちが主軸になって即売会に出展していた。みんなどこへいった。見送られることもなく。と中島みゆき気分で景色をみていた。


 幕張メッセの内部は広いので暖房は行き届かずさむざむとしていた。ぼーかりおどパイセンと挫折さんがやみくろさんの所に遊びに来てくれたので、懐かしい話と楽しい話をした。続けることの大変さや、こんな事をしていきたいって話をした。疲れていたり、小さな矜持が見え隠れしていたりしていた。良い先輩である。

 あと絵師の金子開発ちゃんが来てくれたので、親戚のおじいちゃんになった気分でにこにこしてしまった。時間の流れを感じた。開発は大人になっていた。お酒を飲もう!と言っておいた。

 

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 やみくろさんが目の前の並んだ六枚ほどのフルアルバムを見ながら、この時期はこうだった。ああだったと言っていた時に。例えば日の目を浴びなくても、そして時たま浴びても、誇らしい日記のようだな思った。良い感じで書いたけど、別視点で言うとゲロである。過去十年のやみくろさんの嗚咽集だ。げー!
 音楽になると綺麗になるから、そこらへん最高だナァと思いながら話をしていた。

 あとは「ルカの誕生日だけは動画を毎年必ず上げてた。どうせ路上で五人も集められんかった俺を救ってくれたのはボーカロイドだったよな」的な事を言ってた。なんか飲み屋でするような無駄に熱い話をブースの裏でしていた。似たような境遇だった俺は、たしかになあとウンウン頷いていた。

 

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 CD出展が終わるとおどパイセンとやみくろさんとご飯を食べながらお酒を飲み、ライブ会場に向かった。ボーカロイドたちのライブは不思議な光景だった。コロナ対策で一万五千入る会場はその半分だけだったし、声出しが禁止なのでお客さんはペンライトだけを振った。そしてその対象は一応は既に作られているはずの映像に対して感情が向けられていた。 
 何が違和感か、文章にして気づいたのだが。ライブというのはコミュニケーションの要素が僕は強いと思っていた。演者とお客さんが一体で作るもの。もちろんバックバンドがありのライブパフォーマンスではあるのだが。その実、初音ミクたちは再生されているもので、もちろんアドリブは存在しない。


 しかし、他のアーティストたちと同様、彼女たちにはたくさんのファンがいて、その数は増え続けている。神様っていうのは結局内側にしか存在しないんやな。僕らの想像力は無限である。こんな気持ちでいるんじゃないかという感情を相手(ボーカロイド)に想像できる。変なの。でも一番きれいな偶像の形だと思う。
 うだうだそんな事を考えていた。
 

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 変なことを上記で考えながらもライブはにこにこしながら楽しく聴いていた。知らない曲ばかりだった。みなさん座って聴いてねという言葉と共に、昨日唯一の巡音ルカの出番で、やみくろさんの「完全性コンプレックス」が流れた。

 僕はその曲に動画作りで参加した。

 制作メンバーは俺も仲のいい人ばかりだった。編曲の融合君は富山に来てくれるくらい友達だし、絵の今朝春ちゃんは俺が初めて絵を依頼した絵師さんだし。moko君も初めてミックスをお願いしたエンジニアだった。九年前くらいに良い曲できたねんと言われて、結構身内のチームでがっつり協力して作った曲が時間を経て七千人の目の前で演奏されている。不思議な雰囲気だった。

 やったことは仲のいい友人たちで力を持ち寄って狭い部屋で完結したものごとだったのである。ぽちぽちと動画ソフトを使って動画内の花びらをがんばって飛ばしていた思い出。
 
 羨ましく思うのかなぁとか、思っていたけれど。そんなにはなく、しみじみとなんだか「よかったなあ。やみくろさん、おめ!」みたいな気持ちで聴いていた。

 これで区切りがつく!とかなんとかライブ前はやみくろさんは言っていたいたが、それでもあんまり区切り感もなく、なんとなくの余韻と共に帰路につきました。

 

 聴かれた曲もそうでない曲も、実はそんなに作ってる側に愛情の違いはない。いつだって全力でとりかかっている。それでも何故か一曲だけが脚光を浴びた時、そんな光景を見たとき、他の子たちが蔑ろにされたような、そんな少しだけ寂しい気持ちになる。 それでも完全性コンプレックスがやみくろさんの曲が他のたくさんの曲たちの入り口になっていてくれていたらいいですねえなんて、少しまた歳を取った気持ちになりつつおうちへ帰りました。俺もがんばって曲を書こう。

 

 今日は長くなったので、質問箱はなし。

 長い文章を読んでくれてありがとう、また明日。