家族の風景

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 最近俺は自分の"身体"と会話するようになった。

 

 最近、アルコールを取ると体の調子が悪い。お酒に弱くなったのか、飲むと鼻炎が悪化して呼吸がしにくくなったのか。平日に友人と飲むと次の日がずっと呼吸が辛く、次の日の勤務時間は耐えられない気怠さと眠気が襲ってくる。

 

 おそるおそる自分の身体に、質問してみた。

「なんかさ、お前がいつもがんばってるのは知ってるんだけど。でも最近お前いつもと様子が違うみたいに感じるんだけど、何かあった?」

 そんな風に、相手の気持ちを慮って聞いたつもりだった。しかし身体をきっと目を細めると俺に向かって、こう言ってきた。

「あなたになんてもう付き合ってられない。離婚したい」

 

 決意を込めた言葉だった。続けざまに"身体"は口にする。

「あなた曲書くって言ってるのに口ばっかり。お酒ばかり飲んで、最近煙草習慣まで戻ってきてる。あんたの悪癖があんたに帰ってきてるだけなら良いんすけど、それを私が変わったなんて最低」

 

 俺は変わり果ててしまった、" 身体"の態度に驚き、そして俺は答えた。

「ええ。身体だって俺と一緒に『お酒飲むの楽しいね』って言ってくれてたじゃん。今になって俺だけ悪者なのかよ!」

 そこからは泥沼。近くにあったクッションを手に取り身体に投げつけた。身体はそれをさっと交わして俺の頬に平手打ちをした。二人の間には深い言葉が身動きがとれない沈黙が重く降りていた。

 長い間連れ添った俺たちはもう緑色の紙を役所に提出して、心と身体を別のものとして新しい存在になるしかないかもしれないと思った。いい加減にこの茶番もういいですか。ですよね。身体には気を付けていきたいと思っています。また明日。